エーコークロス

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重賞競走

  • '91 京都大障害(秋)

プロフィール

  • 父: シービークロス
  • 母: リツトーキンカ
  • 品種: サラブレッド
  • 性別: 雄(セン)
  • 毛色: 芦毛
  • 生年月日:1986年04月19日
  • 母馬所有者: 中地 時雄
  • 生産牧場: 中地 時雄
  • 産地: 北海道新冠郡新冠町
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Catch up with Your Old Heroes 今、あの馬はどうしてる?

Location & Conditions for Visitors 繋養者・見学条件

(C)BTC 撮影日 2013年5月28日
繋養展示場所
〒 愛知県知多郡東浦町
 
展示時間
09時00分~09時00分

Pedigree 血統表

Race Record 競走成績

着順 日付 レース名 競馬場 芝ダ 距離
1 1991年11月23日 京都大障害(秋) 京都 3270
主催者 レース回数 1着 2着 3着 着外 賞金
1989年 中央 10 0 3 2 5 8,700,000
1990年 中央 12 1 0 4 7 17,410,000
1991年 中央 7 2 0 1 4 17,100,000
1991年 中央(障害) 9 5 0 0 4 85,036,000
1992年 中央(障害) 4 0 2 0 2 21,924,000
1993年 中央(障害) 2 0 0 0 2 0
合計 中央 29 3 3 7 16 43,210,000
合計 中央(障害) 15 5 2 0 8 106,960,000

Stories コラム

2013年6月 -恋する名馬-

エーコークロス訪問記


知多半島道路、東海知多ICから車で5分のところに、エーコークロス(セン27歳、父シービークロス、母リツトーキンカ)は繋養されている。
牧場の名は、「ブライダルホース」(代表:竹内三年氏)。

「ブライダルホース??」 
どのような意味なのか。
「結婚?馬?」、「結婚式の馬?」、まさか「馬の結婚相談所?」

いろんな考えが頭に浮かんだ。
訪問したら、すぐに由来を尋ねてみようと思い牧場に到着後、挨拶を交わし、すぐに竹内さんに尋ねた。

「結婚式に馬を連れて行くんだよ。馬に飾りを着けて、新婦を馬に乗せてね。そしたら、華やかな結婚式になるでしょ。あとで写真を見せてあげるよ。」

と竹内さんは教えてくれた。
90年代の土曜日、日曜日はほぼフル稼働していたとのこと。

やはり、名古屋の結婚式はスゴイ。

そんな牧場で繋養されているエーコークロスは、実に繊細な馬であった。

エーコークロスは、1986年新冠町で生まれ、競走時代は栗東の安田伊佐夫厩舎に所属していた。通算成績44戦8勝[8-5-7-24]。

デビュー戦は、1989年3月の新馬戦。鞍上は、今は亡き天才ジョッキー・岡潤一郎。結果は8着であった。
以降月1回ペースで出走するも勝利は遠く、初勝利は翌年の3月、デビューからすでに14戦経過していた。
その後、2勝したものの、平地競走では900万条件を突破することはできなかった。
転機を迎えたのは、障害に転向してからであった。障害移籍直後の未勝利戦でいきなり優勝、その後5着と1着を繰り返したが、重賞・京都大障害(秋)を制するまで時間はかからなかった。
重賞馬となってからは、優勝こそなかったものの、重賞をはじめ好成績を収めていた。
しかし、脚部不安のため1993年5月をもって引退、乗馬に転身することとなった。

乗馬としては約10年間活躍した。乗馬引退後、乗馬クラブクレイン三重から2003年に、現役競走馬時代の功績により『引退名馬』として繋養されるため、ここブライダルホースに移ってきた。
現在27歳のエーコークロスは、元気一杯。若さ溢れる馬体に見えた。そして、優しい目をしていた。

「うちに来たときは『腰フラ』の状態だったんだけど、懸命に針治療を施したから元気になったよ。大人しくて、飼葉食いも良く。扱いに苦労したことはない。
逆に飼葉食いが良すぎて…、鼻血がでるくらいだよ。穀が強すぎるのかなぁ…。」と語る竹内さん。そして、こう続けた。

「でもね、実は数か月前、飼葉を全然とらず、げっそりしたことがあったんだよ…。」

「恋煩いっていうのかな。」

「名古屋競馬所属の“デジタルゴールド”が、ここに休養目的で放牧に来ていて、同じ場所に放牧していたら、毎日仲良く過ごしていてね。そのデジタルゴールドが3ヶ月の休養を終えて競馬場に戻ったその晩から、夜通し泣いて、泣いて、泣いて…。
涎もずっと出続けて…、飼葉を食べなくなってしまって…。かなり線が細くなってしまったんだ
その時は、恋煩いだなんて思っていなくて、老衰でもう駄目だと思ってしまったので、安楽死を施す決意をしちゃって、名古屋競馬の獣医師に『すぐ来てくれ。』と電話をしたんだよ。
そしたら、獣医の先生が『多忙のため、どうしても牧場にいけない。数日待ってくれ。』とのことだったので、他の馬と一緒に放牧してたんだよね
そしたらエーコークロスは、こちら側の異変に気付いたのか、時の経過とともに立ち直ったのかわからないけど、土手に生えている草花などを食べ始めるようになってくれた。
それで、『ちょっと待てよ…』となったんだよ。」と、ほっとした感じで竹内さんは当時を振り返った。

ちなみに、デジダルゴールドは竹内三年氏所有の牝で年齢は6歳。
父:アグネスデジタル、母:グラマラス、通算成績33戦22勝【22-0-2-9】(5月15日現在)。母の馬名が「グラマラス」から察するとデジタルゴールドも母に似てグラマーなのだろうか。

「本当にあの時、獣医さんが来てくれなくてよかった。」と、常々、竹内さんと奥さんは2人で言い合っているそうだ。

偶然にも、獣医師が来られないなんて、神のご加護があったのだろうか。

エーコークロスは、今、ポニーと一緒に遊びながら愛馬“デジタルゴールド”の帰りを、首を長くしながら待っている。
そんな、エーコークロスを多くの人に知ってもらいたいと願いながら、牧場を後にしようとしていたとき、エーコークロスは大好きな“砂浴び”をして遊んでいた。