エーコークロス
重賞競走
- '91 京都大障害(秋)
プロフィール
- 父: シービークロス
- 母: リツトーキンカ
- 品種: サラブレッド
- 性別: 雄(セン)
- 毛色: 芦毛
- 生年月日:1986年04月19日 母馬所有者: 中地 時雄
- 生産牧場: 中地 時雄
- 産地: 北海道新冠郡新冠町
Catch up with Your Old Heroes 今、あの馬はどうしてる?
26歳になりましたが、まだまだ元気です。
Location & Conditions for Visitors 繋養者・見学条件
- 繋養展示場所
- 〒 愛知県知多郡東浦町
- 展示時間
- 09時00分~09時00分
Pedigree 血統表
Race Record 競走成績
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 1991年11月23日 | 京都大障害(秋) | 京都 | 障 | 3270 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1989年 | 中央 | 10 | 0 | 3 | 2 | 5 | 8,700,000 |
1990年 | 中央 | 12 | 1 | 0 | 4 | 7 | 17,410,000 |
1991年 | 中央 | 7 | 2 | 0 | 1 | 4 | 17,100,000 |
1991年 | 中央(障害) | 9 | 5 | 0 | 0 | 4 | 85,036,000 |
1992年 | 中央(障害) | 4 | 0 | 2 | 0 | 2 | 21,924,000 |
1993年 | 中央(障害) | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
合計 | 中央 | 29 | 3 | 3 | 7 | 16 | 43,210,000 |
合計 | 中央(障害) | 15 | 5 | 2 | 0 | 8 | 106,960,000 |
Stories コラム
2013年6月 -恋する名馬-
エーコークロス訪問記
知多半島道路、東海知多ICから車で5分のところに、エーコークロス(セン27歳、父シービークロス、母リツトーキンカ)は繋養されている。
牧場の名は、「ブライダルホース」(代表:竹内三年氏)。
「ブライダルホース??」
どのような意味なのか。
「結婚?馬?」、「結婚式の馬?」、まさか「馬の結婚相談所?」
いろんな考えが頭に浮かんだ。
訪問したら、すぐに由来を尋ねてみようと思い牧場に到着後、挨拶を交わし、すぐに竹内さんに尋ねた。
「結婚式に馬を連れて行くんだよ。馬に飾りを着けて、新婦を馬に乗せてね。そしたら、華やかな結婚式になるでしょ。あとで写真を見せてあげるよ。」
と竹内さんは教えてくれた。
90年代の土曜日、日曜日はほぼフル稼働していたとのこと。
やはり、名古屋の結婚式はスゴイ。
そんな牧場で繋養されているエーコークロスは、実に繊細な馬であった。
エーコークロスは、1986年新冠町で生まれ、競走時代は栗東の安田伊佐夫厩舎に所属していた。通算成績44戦8勝[8-5-7-24]。
デビュー戦は、1989年3月の新馬戦。鞍上は、今は亡き天才ジョッキー・岡潤一郎。結果は8着であった。
以降月1回ペースで出走するも勝利は遠く、初勝利は翌年の3月、デビューからすでに14戦経過していた。
その後、2勝したものの、平地競走では900万条件を突破することはできなかった。
転機を迎えたのは、障害に転向してからであった。障害移籍直後の未勝利戦でいきなり優勝、その後5着と1着を繰り返したが、重賞・京都大障害(秋)を制するまで時間はかからなかった。
重賞馬となってからは、優勝こそなかったものの、重賞をはじめ好成績を収めていた。
しかし、脚部不安のため1993年5月をもって引退、乗馬に転身することとなった。
乗馬としては約10年間活躍した。乗馬引退後、乗馬クラブクレイン三重から2003年に、現役競走馬時代の功績により『引退名馬』として繋養されるため、ここブライダルホースに移ってきた。
現在27歳のエーコークロスは、元気一杯。若さ溢れる馬体に見えた。そして、優しい目をしていた。
「うちに来たときは『腰フラ』の状態だったんだけど、懸命に針治療を施したから元気になったよ。大人しくて、飼葉食いも良く。扱いに苦労したことはない。
逆に飼葉食いが良すぎて…、鼻血がでるくらいだよ。穀が強すぎるのかなぁ…。」と語る竹内さん。そして、こう続けた。
「でもね、実は数か月前、飼葉を全然とらず、げっそりしたことがあったんだよ…。」
「恋煩いっていうのかな。」
「名古屋競馬所属の“デジタルゴールド”が、ここに休養目的で放牧に来ていて、同じ場所に放牧していたら、毎日仲良く過ごしていてね。そのデジタルゴールドが3ヶ月の休養を終えて競馬場に戻ったその晩から、夜通し泣いて、泣いて、泣いて…。
涎もずっと出続けて…、飼葉を食べなくなってしまって…。かなり線が細くなってしまったんだ
その時は、恋煩いだなんて思っていなくて、老衰でもう駄目だと思ってしまったので、安楽死を施す決意をしちゃって、名古屋競馬の獣医師に『すぐ来てくれ。』と電話をしたんだよ。
そしたら、獣医の先生が『多忙のため、どうしても牧場にいけない。数日待ってくれ。』とのことだったので、他の馬と一緒に放牧してたんだよね
そしたらエーコークロスは、こちら側の異変に気付いたのか、時の経過とともに立ち直ったのかわからないけど、土手に生えている草花などを食べ始めるようになってくれた。
それで、『ちょっと待てよ…』となったんだよ。」と、ほっとした感じで竹内さんは当時を振り返った。
ちなみに、デジダルゴールドは竹内三年氏所有の牝で年齢は6歳。
父:アグネスデジタル、母:グラマラス、通算成績33戦22勝【22-0-2-9】(5月15日現在)。母の馬名が「グラマラス」から察するとデジタルゴールドも母に似てグラマーなのだろうか。
「本当にあの時、獣医さんが来てくれなくてよかった。」と、常々、竹内さんと奥さんは2人で言い合っているそうだ。
偶然にも、獣医師が来られないなんて、神のご加護があったのだろうか。
エーコークロスは、今、ポニーと一緒に遊びながら愛馬“デジタルゴールド”の帰りを、首を長くしながら待っている。
そんな、エーコークロスを多くの人に知ってもらいたいと願いながら、牧場を後にしようとしていたとき、エーコークロスは大好きな“砂浴び”をして遊んでいた。