重賞競走
'99 安田記念 G1
'99 マイルChS G1
'98 富士S G3
「小国スティーブル」(北海道日高郡新ひだか町静内田原901~63)から2022年5月1日に「王蔵牧場」(北海道浦河郡浦河町瑞穂191)に移動したとの連絡がありました。
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 1999年06月13日 | 安田記念 G1 | 東京 | 芝 | 1600 |
1 | 1999年11月21日 | マイルChS G1 | 京都 | 芝 | 1600 |
1 | 1998年11月28日 | 富士S G3 | 東京 | 芝 | 1400 |
2 | 1999年05月15日 | 京王杯スプリングC G2 | 東京 | 芝 | 1400 |
3 | 1999年10月31日 | 天皇賞(秋) G1 | 東京 | 芝 | 2000 |
1 | 1998年02月01日 | カトレア賞 500万下 | 東京 | ダ | 1200 |
1 | 1998年11月14日 | 奥多摩S 1600万下 | 東京 | 芝 | 1400 |
2 | 1999年04月25日 | 谷川岳S オープン | 新潟 | 芝 | 1600 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1997年 | 中央 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6,000,000 |
1998年 | 中央 | 6 | 4 | 0 | 0 | 2 | 90,902,000 |
1999年 | 中央 | 5 | 2 | 2 | 1 | 0 | 263,102,000 |
合計 | 中央 | 12 | 7 | 2 | 1 | 2 | 360,004,000 |
年度 | 表彰情報 |
1999年 | 最優秀父内国産馬 |
1999年 | 最優秀スプリンター |
北海道十勝地方のほぼ中央部に位置する幕別町は、真冬になれば氷点下30度近くまで気温が下がることも珍しくなく、しばしば全国ニュースをにぎわせる地域です。
春から秋にかけては極端に気温が上昇することもなく、ヒトもウマも過ごしやすい冷涼な空気に包まれます。
2017年の種付を最後に種雄馬生活を引退したエアジハードは、23歳となった今年から、この場所で引退名馬として日々を過ごしています。
「(十勝地方に)移動してきたのは2011年ですから、エアジ(中川さんは、エアジハードをこう呼びます)とも、もう長い付き合いになります。
今年で30歳になったダイナマイトダディも一緒でノーザンテーストの血が入っているから長生きできると思いますよ。」
というのは同馬を管理している中川郁夫さん。
今は、エアジハードとダイナマイトダディの2頭、そして牧場敷地内で増え続ける十数羽のウサギとともに穏やかな日々を送っています。
「改めて思うことは、本当に人気のある馬だなってことです。
ここを訪れてくれるファンの方々は、エアジハードか、ダイナマイトダディを目当てにくる方ばかりなので当たり前かもしれませんが、本当に朝から夕方までずーーっと見ている人が少なくないのです。
それに、あれなどはファンの方が作ってくれたのです。」
そう指差す先には「エアジ」と刺繍された頭絡が。(動画で確認できます)
縫われた糸、1本1本に思いが込められているような、そんな感じがします。
現在、エアジハードが暮らす十勝軽種馬農業協同組合種馬所は、かつてドクタースパートやハクタイセイ、ギャロップダイナなども種雄馬生活を送っていた場所です。
北の玄関口、新千歳空港から約150km。
高速道路を使っても約3時間の道のり。
近隣に軽種馬の種雄馬施設などはなく、ここを訪れるファンの方は、現在ここで余生を送る2頭が目的です。
それだけの時間をかけて会いに来たいと思わせる魅力がエアジハードにはあるのでしょう。
貴公子然とした栗毛の馬体と、額を流れる大きな流星。
現役時代のようなビルドアップされた馬体ではありませんが、サラブレッドが醸し出す美しさはそのままです。
見知らぬ人間に対しても警戒心を抱くどころか、人懐っこく寄ってくるのも人気の理由かもしれません。
そんなエアジハードには地元の北海道はもちろん、東京や大阪、九州まで本当に全国からファンが足を運んでくれるそうです。
「以前は寒くなると体調を崩しやすかったのですが、最近は十勝の気候にも慣れて元気です。
ただ、元気そうに見えても1年毎に年齢は重ねていくのでそこは人間がしっかりと体調管理をしてあげようと思っています。」
取材を進めていくうちに分かったのは、エアジハードと中川さんの信頼関係です。
厩舎作業のために中川さんが放牧地を離れると一心に草を噛みますが、中川さんの声が聞こえると反応し、安心したような行動を取ります。
そのことを中川さんに伝えると、少し照れたような表情で
「この馬は頭が良いから、面倒を見てくれる人を分かるんだ。」
と笑います。
この場所に、全国から多くのファンが集まってくる理由は馬だけではないということを、少しだけ理解しました。
できることなら、こんな風景がいつまでも続いて欲しい。
そう願わざるを得ない道東の取材旅行となりました。