重賞競走
'93 京都4歳特別 G3
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 1993年05月09日 | 京都4歳特別 G3 | 京都 | 芝 | 2000 |
2 | 1993年06月06日 | NzT4歳S G2 | 東京 | 芝 | 1600 |
2 | 1993年10月24日 | ローズS G2 | 京都 | 芝 | 2000 |
2 | 1993年09月12日 | セントウルS G3 | 阪神 | 芝 | 1400 |
2 | 1993年10月03日 | サファイヤS G3 | 阪神 | 芝 | 2000 |
3 | 1993年03月07日 | アーリントンC G3 | 阪神 | 芝 | 1600 |
2 | 1993年12月12日 | ポートアイランドS オープン | 阪神 | 芝 | 1600 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1992年 | 中央 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5,900,000 |
1993年 | 中央 | 12 | 1 | 7 | 1 | 3 | 150,888,000 |
1994年 | 中央 | 7 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 |
1995年 | 中央 | 7 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 |
1996年 | 中央 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
合計 | 中央 | 29 | 2 | 7 | 1 | 19 | 156,788,000 |
北の玄関、新千歳空港から、ゆっくり走って車で約1時間ほどでしょうか。
北海道沙流郡日高町にある外舘孝一さんの牧場に、31歳となったケイウーマンを訪ねました。
まだ、外国産馬が珍しい時代に、強烈なスピードを印象付けてくれた馬です。
「いやぁ、あと1か月もしたら冬毛が抜けて、綺麗になるのになぁ」(撮影日 2021年4月8日)とちょっと申し訳なさそうな顔をした外舘さんが迎えてくれました。
確かに、ぬいぐるみのような毛に覆われているケイウーマンは、見た目にも愛嬌たっぷり。
しかし、その現役時代を知る者にとっては、毛皮のコートを身にまとった貴婦人のようにも見えました。
誤解がないように書き添えておきますが、冬毛は、寒さから身を守るために必要なもの。
冬毛が生えるということは、ある意味で新陳代謝が正しく機能しているということでもあるのです。
1990年にアイルランドで生まれたケイウーマンは、下河辺牧場の下河辺俊行氏によって購入され、2歳の5月に日本へと輸入されました。
父は、のちに日本でも供用されたラストタイクーンで、母フレンドリーファイナンスの半兄には名種雄馬リヴァーマンがいる名血の競走馬でした。
1982年のNHK杯や京成杯などに勝ち、その当時ダービー候補と言われ、のちに種雄馬となったアスワンも同じファミリーに属します。
1992年11月の芝1400メートルデビュー戦では当時23歳の武豊騎手を背に9馬身差で圧勝したレースぶりは、まさに外国産スーパーカー。
エリザベス女王杯当日とあってにぎわう京都競馬場のファンの度肝を抜きました。
しかし、当時のルールでは外国産競走馬は日本のクラシックレースに出走することができず、まだ出走できるレースも限られたものでした。
そのため、馬の適性にあわせてというよりも、出走を許されたレースにチャレンジしていくほかありませんでした。
芝1400メートルで圧倒的なスピードを見せながらも、雄馬相手の2000メートルの重賞競走「京都4歳特別」に出走した背景には、当時のそんな事情もありますが、ここでダービー出走を目指す馬たちを一蹴します。
通算成績は29戦2勝(重賞1勝)ですが、その数字以上に中身の濃い競走生活を終えたケイウーマンは、下河辺牧場で種雌馬となり、モンテクリスエス(ダイヤモンドS)、マチカネキララ(デビューから6戦5勝と快進撃を続けた馬)などを送りだしました。
外舘さんの牧場で引退名馬としての生活をスタートさせます。
「実は、その前からたとえば受胎しなかった年などはケイウーマンをお預かりしていました。
ですから、馬はこの場所に慣れていますし、私も扱いには慣れているつもりです。」
とのこと。
当時から、気の強い一面があったそうですが。それは31歳になった今もあまり変わらず、放牧地の出し入れの順番や、あるいは与えられた餌や水を補給するときも女王様然とした雰囲気を醸し出しています。
広い放牧地を与えられ、その場所を自由に動き回るケイウーマンは心身ともに健康なようです。
驚いたのは、突然に走り出したこと。
冬毛には覆われていますが、柔らかいフォームと軽快な足の運びは若き日のケイウーマンと重ねられるものがあります。
それでも
「さすがに年齢を重ねて、最近は歯の噛み合わせが悪くなりました。」
と外舘さん。
そのため、青草の時期以外は、柔らかい燕麦のようなものを中心としたメニューを与えているそうです。
すでに31歳。
まだまだ元気とはいえ、サラブレッドとしては十分な高齢馬です。
「コロナの影響でファンの方は足を運びにくい状況が続いていると思いますが、馬は元気です。これから良い季節を迎えますので、ファンの方が見学できるように1日も早くコロナが収束してほしいと願っています。
あと何年生きられるかはわかりませんが全力でサポートさせていただきます。
最後までこの馬らしく生きてほしいですね。」
と、お話しいただきました。