重賞競走
'93 中山牝馬S G3
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 1993年02月28日 | 中山牝馬S G3 | 中山 | 芝 | 1800 |
2 | 1993年01月31日 | 京都牝馬特別 G3 | 京都 | 芝 | 1600 |
1 | 1992年10月18日 | 渡月橋S 1500万下 | 京都 | 芝 | 1400 |
1 | 1992年11月08日 | 福島民友C オープン | 福島 | 芝 | 1800 |
1 | 1993年11月07日 | 福島民友C オープン | 福島 | 芝 | 1800 |
2 | 1993年10月23日 | カシオペアS オープン | 京都 | 芝 | 1800 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1990年 | 中央 | 5 | 1 | 1 | 0 | 3 | 8,450,000 |
1991年 | 中央 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3,600,000 |
1992年 | 中央 | 16 | 6 | 2 | 1 | 7 | 83,230,000 |
1993年 | 中央 | 10 | 2 | 2 | 0 | 6 | 92,146,000 |
合計 | 中央 | 33 | 9 | 5 | 3 | 16 | 187,426,000 |
馬産地として有名な新ひだか町は『涼夏小雪の郷』と呼ばれるように夏は過ごしやすく、冬も雪が少ない地域なのですが、今年は一転して観測史上稀にみる大雪に見舞われています。
元来、寒さに強いサラブレッドとはいえ、高齢の功労馬たちにとっても経験したことがないような厳しい冬であろうことは想像に難くありません。
そんな中、今回は1993年の中山牝馬ステークスを制したラビットボールが余生を過ごしている新ひだか町三石の片山牧場を訪れました。
ラビットボールは1987年生まれの今年31歳。父ラツキーソブリン、母タニノベンチヤ。オールドファンなら血統を見てすぐにピンとくるかもしれませんが、半兄は1984年のジャパンカップで、シンボリルドルフ、ミスターシービーという2頭の三冠馬を破り、日本産、日本調教馬として初めて同レースを優勝したカツラギエース。そしてひとつ上の半兄に、当時のセール最高価格となる2億6500万円で落札されたモガミショーウンがいる当代きっての良血馬として生まれた時から注目を集めていました。その後、栗東の池江泰郎厩舎管理の下3歳秋の未勝利戦で遅いデビューを迎えると3戦目で未勝利を勝ち上がり、古馬になってからは条件戦でじっくりと力をつけて5歳秋でついにオープン入り、明けて6歳時には中山牝馬ステークスに優勝して初の重賞勝ちを挙げ、遅咲きの血を開花させました。
「今年で31歳になりましたが飼葉食いも良いですし、元気いっぱいで若々しさをキープしていますよ。1頭だけにしてしまうと寂しがってしまうし、何より老け込んでしまうだろうから、元気があるうちは若い繁殖牝馬たちのリードホース的な存在として同じ放牧地で放牧していこうと考えています。」
そう話すのは現在片山牧場の代表を務める片山寿郎さん。当時学生だったという片山さんにエピソードを尋ねると
「カツラギエースの半妹と言うことで当然生まれる前から期待は大きかったです。父が同じ種牡馬を付けたがらなかったので、タニノベンチヤにも毎年違う種牡馬を配合し、生まれたのがラビットボールなのです。ラツキーソブリンは愛ダービー2着馬。シンボリルドルフが勝ったダービー2着スズマッハもラッキーソブリンの産駒でした。ラビットボールがお世話になった池江厩舎とラッキーソブリン産駒の相性が良かったのも(重賞3勝のラッキーゲランなど)結果的に大正解だったのだと思います。」
6歳秋の福島民友カップで迎えたラストランを勝利で締めくくったラビットボールは、生まれ故郷の片山牧場に戻り、繁殖雌馬として第2の馬生をスタート。23歳に最後の産駒を出産し合計15頭もの産駒に恵まれたのだそうです。
「オ―ナーのご好意もあって、運良く繁殖雌馬として当牧場に戻してもらえました。若いころは人にもきつい性格で、引き手を選ぶような面もありました。年を重ねてからは、性格も徐々に丸くなっていきましたし、何よりもたくさんの産駒を産んでくれて後継も残してくれたので、ラビットボールには本当に感謝しています。」
現役を引退してすでに20年以上が過ぎたラビットボールですが、今でも熱心なファンが毎年のように牧場を訪れるのだそうです。
「ラビットボールだけでなく、カツラギエースの時からのファンの方々が今でも訪れてくれます。年齢的にもいつ衰えがきても不思議はないですが、ここまで病気もなく元気に過ごしてくれているので、サラブレッドの最長寿を目指して長生きして欲しいですね。」
そう語る片山さんの奥で、悠々と乾草を食み続けているラビットボール。
この先1日でも長く我々の前に元気な姿を見せ続けて欲しいと願うばかりです。