重賞競走
'90 サンスポ阪神牝馬特別 G3
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 1990年12月16日 | サンスポ阪神牝馬特別 G3 | 京都 | 芝 | 2000 |
2 | 1991年02月17日 | 小倉大賞典 G3 | 小倉 | 芝 | 1800 |
2 | 1991年08月18日 | 函館記念 G3 | 函館 | 芝 | 2000 |
3 | 1990年10月14日 | 牝馬東タイ杯 G3 | 東京 | 芝 | 1600 |
3 | 1991年03月17日 | 中京記念 G3 | 小倉 | 芝 | 2000 |
1 | 1990年08月18日 | 天草S 900万下 | 小倉 | 芝 | 2000 |
1 | 1990年09月15日 | 有松特別 900万下 | 中京 | 芝 | 1800 |
1 | 1990年11月17日 | 比叡S 1500万下 | 京都 | 芝 | 2000 |
1 | 1991年04月21日 | オーストラリアT オープン | 京都 | 芝 | 1800 |
1 | 1991年10月19日 | カシオペアS オープン | 京都 | 芝 | 1800 |
2 | 1991年07月21日 | 道新杯 オープン | 札幌 | 芝 | 1800 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1988年 | 中央 | 5 | 1 | 1 | 1 | 2 | 11,980,000 |
1990年 | 中央 | 11 | 5 | 3 | 2 | 1 | 110,588,000 |
1991年 | 中央 | 11 | 2 | 3 | 1 | 5 | 104,296,200 |
合計 | 中央 | 27 | 8 | 7 | 4 | 8 | 226,864,200 |
2018年3月某日。この年、馬産地は大雪に悩まされました。むかわ町にある市川牧場でも真っ白だった放牧地の雪がやっと解けだし、枯れ草色が顔を出しました。
「もうひと雨降らないと、土の中のしばれは完全には解けないですよ。」
そう言いながら、1990年のサンスポ阪神牝馬特別(G3)に優勝したメインキャスターを見つめる代表の市川寿夫さん。
同馬はここで功労馬としてのんびりと生活しています。
市川牧場は創業昭和39年の牧場。
半世紀以上に及ぶ歴史の中でシンウインド(スワンS、京王杯SC)、スガノオージ(毎日王冠、カブトヤマ記念)、スガノスキー(道営記念)、デストラメンテ、マイネルハーティー(ニュージーランドT、シンザン記念2着)などの活躍馬を生産してきました。
繁殖雌馬14頭、1歳10頭を繋養し、まだまだ続く出産ラッシュに家族で力を合わせて対応しながら丈夫で長く活躍できる馬作りに励んでいます。
メインキャスターは父ノーザンテースト、母ニチドウクイン、母の父マリーノという血統で社台ファームの生産馬。
2歳秋から4歳春まで、1年半以上にも及ぶ休養を余儀なくされながらも復活を遂げます。
5歳夏は500万円以下級の条件馬ながらも900万円以下級(現在の1000万円以下級)に勝つと重賞の牝馬東京タイムス杯に挑戦して3着。
その後、準オープン特別、重賞を連勝しました。
その成長力は、まるで蛹が美しい蝶に変身するか如く。
一気に重賞戦線の主役を勝ち取ることになりました。
通算27戦8勝という競走成績の中で1~4着が合計23回、4着以内に入れなかった4戦のうち3戦がG1レースでした。雄馬相手のレースでも引けを取らない強さを持った雌馬だったのです。
競走馬を引退したあとは生まれ故郷の社台ファームで繁殖雌馬になり貢献していましたが、縁があって市川牧場に購入されたそうです。
来た当初はまだ気性が荒かったそうですが、当時20歳で2006年にマイネルガルボ(父ホワイトマズル 雄)、2007年にアキノフェザー(父フジキセキ 雄)、24歳となった2010年にもボールドタイド(父ブラックタイド 雄)を出産して母としての役目を終えました。
「血統馬なので、繁殖雌馬として残せる雌馬が1頭くらい生まれてくれていたら良かったのだけど。」
と苦笑いしながらメインキャスターを呼んでくれました。
現在放牧地で一緒に過ごしている相棒は、2頭の受胎馬と1頭の空胎馬。
相棒はその年によって変わりますが、誰とでも上手くやって行ける性格だそうです。
雌の当歳が1頭しか生まれなかったある年、当歳とその母、そしてメインキャスターを同じ放牧地に放した事がありました。
当歳を連れた母馬は我が子を守るために他の馬が近づく事をとても嫌がるはずなのですが、メインキャスターと仔馬が仲良くしていても母馬は気にすることなく3頭で過ごしていたというエピソードもあるそうです。
少し食欲が落ちた時期もありましたが、最近は、持ち直してまた食べるようになったそうです。
特に人参が大好きなので毎日飼い葉に入れてもらっているという幸せな生活を送っています。
そんなメインキャスターにはこだわりがあって放牧地に向かう時は先頭に立たないと気が済まないそうで、
「32歳になってもまだまだ元気。
ものすごい馬力はいまだに健在です。
放牧の時間が少しでも遅れると一刻も早く行かなくてはと急ぎ足で放牧地に向かうので困ってしまいます。
いざ放牧すると喜び勇んで放牧地の一番端まで走って行くこともあるくらいです。
そんなときは心臓麻痺をおこすのではないかと心配になるくらいです。
その様子を見ている他の馬も仕方がなく一度は付き合って一緒に走って行ってくれています。」
とメインキャスターのハリのある馬体にブラシをかけながら楽しそうに話してくれました。
「毎年会いに来てくれるファンの方もいます。
本馬は32歳なのに若いファンの方が多いですね。
関東地方からツアーを組んで会いに来てくれるファンもいます。
引退名馬の中では4番目の長生きで雌では2番目なのだそうですね。
この年齢には思えないほど元気なので、一番のご長寿になれるように頑張って欲しいです。」
好奇心旺盛な眼差しで人間観察しているようなメインキャスター。
よく動くのが若さの秘訣なのでしょうか。
栄養満点の青草が放牧地を覆ったら更に元気な姿を見せてくれるはずです。
注:年齢は新年齢標記です。