重賞競走
'02 関東オークス(中央交流) G3
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 2002年05月22日 | 関東オークス(中央交流) G3 | 川崎 | ダ | 2100 |
2 | 2002年10月13日 | 秋華賞 G1 | 京都 | 芝 | 2000 |
2 | 2002年09月15日 | ローズS G2 | 阪神 | 芝 | 2000 |
3 | 2002年08月11日 | クイーンS G3 | 札幌 | 芝 | 1800 |
1 | 2002年01月14日 | 呉竹賞 500万下 | 東京 | ダ | 1400 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
2001年 | 中央 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6,000,000 |
2002年 | 中央 | 6 | 1 | 2 | 1 | 2 | 89,006,000 |
2002年 | 地方 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 30,000,000 |
2003年 | 中央 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
合計 | 中央 | 8 | 2 | 2 | 1 | 3 | 95,006,000 |
合計 | 地方 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 30,000,000 |
JRAとの交流レースとなって3年目になる2002年の関東オークスを1番人気に応えて優勝したのは静内町(現在の新ひだか町)新和牧場生産のサクラヴィクトリアでした。
当時、3歳牝馬限定のダートグレード競走は、このレースのみ。
この年、JRAからはサクラヴィクトリアがエントリー。
ダート競馬で2戦2勝。
重賞のクイーンC、フローラSでいずれも5着に健闘し、オークスにも最終登録を行っていました。
それを迎え撃つ形になったのはホッカイドウ競馬でデビューし、南関東移籍後は東京2歳優駿牝馬、ローレル賞、浦和桜花賞とダートでは無敵の快進撃を続けていたラヴァリーフリッグ。
この2頭が人気を分け合う形でレースを迎えました。
浦和桜花賞3着の8番人気ベルモントピュアがレースを引っ張る展開となりましたが、これを2番手でマークしていたラヴァリーフリッグが2周目3角で先頭に立って逃げ込みを図りますが、ここが勝負どころと判断した蛯名正義騎手の叱咤激励に応えるようにポジションを上げたサクラヴィクトリアが4角入り口で並びかけ、力でねじ伏せるように先頭ゴールインを果たしています。
そんなサクラヴィクトリアに特別な思いを抱いているのは、同馬を生産した新和牧場の谷岡毅さんです。
「ひと言で言えば不思議な馬。健康優良児で生まれてきましたが、成長するに従いいろいろと……実は、競走馬としてデビューできたことが不思議なくらいに問題を抱えていた馬なのです。」
と話してくれました。
「オーナー、調教師はじめ多くの関係者のおかげで関東オークスという大きなタイトルを勝たせてもらいました。本当に感謝しています。その後は秋華賞を目指しましたが、そこで待っていたのがファインモーションでした。」
ローズS、そして秋華賞はいずれも同馬の2着。それでも
「本当にいろいろなことを教えてくれた馬です。普通の人間ではとてもできないようなことを乗り越えてきた馬だと思います。頭が下がりますし、それは現役生活を終えたあとも同じで受胎、出産には苦労させられましたが、人間ができることなんて、この馬の頑張りに比べればないようなもの。本当に頑張ってくれたと思います。」
と当時の苦悩を話してくれました。
4歳春の京都牝馬Sを最後に引退したサクラヴィクトリアはその年から生まれ故郷で繁殖生活に入りましたが、結果から言えば12年間の繁殖生活で4頭の産駒にしか恵まれず、2014年秋から引退名馬として余生を送っています。
そんなサクラヴィクトリアも25歳となり、現在は5歳年下のサクラシャンティとともに新ひだか町豊畑の谷岡スタットで静かに余生を送っています。
ここは、北海道遺産にも選ばれた二十間道路やサラブレッドを生産する公立高校『北海道静内農業高等学校』からほど近い場所にありますが、交通量も少なくゆったりとした時間が流れています。
現在、本馬を管理する原さんもあと数年もすれば傘寿を迎えるとのこと。
以前は生産牧場を営み『サクラ』の馬も扱っていたといいます。
「馬から元気をもらっていますよ。」
と言いながら世話に余念がありません。
「年齢とともに左の後脚はだいぶ緩くなってきましたが、それ以外はいたって健康。つい先日も若いファンの方が見えました。年齢的には現役時代を知らない方だと思いますが、ずいぶんと再会を喜んでくれていました。」
春シーズンは朝5時頃から夕方4時30分くらいまでを放牧時間にあてられているそうですが、近年はケガや病気とは無縁の生活で、歯も丈夫。獣医師とは縁遠い生活を送っているそうです。
「高齢馬だからと言って、特別扱いはしていません。さすがに食べるものだけは消化の良いものを与えるようにしていますが、なるべく若いときと同じ生活をさせてあげたいと思っています。」
と長寿健康の秘訣をそっと耳打ちしてくれました。
「自分の生産馬ではないけれども、10年も一緒にいれば情も移ります。とにかく、いつまでも元気に、長生きしてほしい。」
と目を細めています。