重賞競走
'99 京都記念 G2
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 1999年02月14日 | 京都記念 G2 | 京都 | 芝 | 2200 |
2 | 1999年01月24日 | 日経新春杯 G2 | 京都 | 芝 | 2400 |
3 | 1998年11月08日 | 菊花賞 G1 | 京都 | 芝 | 3000 |
4 | 1998年04月19日 | 皐月賞 G1 | 中山 | 芝 | 2000 |
1 | 1997年11月23日 | つわぶき賞 500万下 | 中京 | 芝 | 1700 |
1 | 1998年03月14日 | すみれS オープン | 阪神 | 芝 | 2200 |
1 | 1998年10月24日 | カシオペアS オープン | 京都 | 芝 | 2000 |
2 | 1997年12月14日 | 中京3歳S オープン | 中京 | 芝 | 1800 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1997年 | 中央 | 4 | 2 | 1 | 1 | 0 | 24,308,000 |
1998年 | 中央 | 6 | 2 | 0 | 1 | 3 | 92,244,000 |
1999年 | 中央 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 91,062,000 |
2001年 | 中央 | 7 | 0 | 0 | 0 | 7 | 2,500,000 |
2002年 | 地方 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
合計 | 中央 | 19 | 5 | 2 | 2 | 10 | 210,114,000 |
合計 | 地方 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
新千歳空港から高速道路を使えば、30分少々でしょうか。
北海道沙流郡日高町福満。
とても縁起がよさそうな、その地区に白井牧場があります。
桜花賞馬チアズグレイスやサマースプリント王者ハクサンムーンなどの生産牧場としても知られるこの牧場で、27歳になったエモシオンが引退名馬として余生を過ごしています。
凱旋門賞優勝馬トニービンと、日本のオークス馬アドラーブルとの間に生まれ、2歳夏に新馬勝ち。
すみれステークスをステップに挑んだ皐月賞は4着で、菊花賞では2着スペシャルウィークをクビ差まで追い詰める3着と健闘しています。
4歳時には京都記念に勝ち、現役引退後は種雄馬という道を選択せずに、生まれ故郷であるこの白井牧場に戻ってきました。
同牧場スタッフで育成馬にも騎乗する傍ら、各種馬術大会でも活躍している山本さんにお話を伺いました。
エモシオンにも騎乗経験があるそうで
「とても乗りやすい馬です。さすがは中央競馬の重賞勝ち馬ですね。」
と明るい声が返ってきました。
いつもなら放牧地で過ごしている時間ですが、到着した時には洗い場につながれて手入れをされていました。
体形は崩れていませんし、毛艶もよく、実年齢よりも相当若く見えます。
「若いうちから病気やケガとは無縁の馬で、とにかく健康です。ただ、歯が少し悪くなってきたので太い乾草は食べにくそうになってきました。賢い馬ですから、食べやすそうな草を選んで食べていますね。」
と、優しい視線を送る山本さん。
と言っても、歯が抜けてしまっているわけではなく、しっかりと生え揃っているように見えます。多少、噛み合わせが悪くなっているということなのかもしれません。
「とても臆病というか、慎重に物事を運ぶ馬なのです。」
聞けば、かなりのインドア派。
馬術の障害競技を飛ぶ能力はすごいそうですが、障害に向かう勇気が少しだけ足りないのか、あまり向いていなかったです。
普段、馬房の扉が開いていたとしても外に出ようとはせず、放牧よりも、集牧の方が好きなようです。
そんなエモシオンには申し訳ないのですが、この日はいつもよりも少しだけ遅い時間に、いつもと違う放牧地で、いつもより少しだけ長く外に出してもらいました。
北海道内では雪が少ない日高地方にも、この冬は多くの雪が降り、放牧地には除雪された雪山ができています。
そんな雪山をいぶかしげに見ながら、慎重に周囲を確認し放牧地を一周。
軽快な足さばきにも感心させられますが、どこか緊張している様子が、こちらにも伝わってきます。
聞けば、本当はもっと広い放牧地がエモシオンの場所らしいのですが、この冬は除雪が追い付かないため、やむなく狭い放牧地に入れているそうです。
そのため、元気を余しているエモシオンが運動不足にならないように調馬索=ロンジング運動をさせているそうです。
27歳の高齢馬が放牧地を駆け回るシーンは期待していませんでしたが、撮影が1時間を過ぎた頃から馬がヒンヒンと鳴きだしました。
長く、引退名馬の取材をさせていただいておりますが、高齢馬になった馬が鳴くのは珍しいことです。
「(馬房に)帰りたいのだと思います。」
と、やや申し訳なさそうに山本さん。
馬にストレスを与えるのは本意ではありませんので、撮影を終了。
山本さんが声をかけながら放牧地に近づくと、嬉しそうに寄ってきて、その身を任せようとします。
気のせいか、放牧されるときよりも、帰るときの方が歩くスピードが速いようにも感じました。
馬房に戻ると、若駒のように用意されていた飼い葉桶に顔を突っ込んで一心不乱に食べていました。
ここ白井牧場にはエモシオンのほかオースミイチバン、シビルウォー、ブレイクランアウトが引退名馬として余生を送っているほか、30歳になったメガミゲラン(ハクサンムーンの祖母)も過ごしているそうです。
「中央競馬の重賞勝ち馬の最高年齢、狙えそうですね。」
と声をかけると、山本さんは
「はい!」
と飛び切りの笑顔を見せてくれました。