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マイネルダビテ

プロフィール

父: デユール
母: ニホンピロチヤイナ
品種: サラブレッド
性別: 雄
毛色: 青鹿毛
生年月日:1984年05月03日
母馬所有者: 村田 光雄
生産牧場: 村田 光雄
産地: 北海道新冠郡新冠町

重賞競走

'87 共同通信杯4歳S G3

近況 2021年2月

2021年1月30日に死亡しました。

JAIRS情報提供者:

繋養展示場所
〒056-0001 北海道日高郡新ひだか町静内目名92
 
岡田スタッド
TEL
0146-42-1478
展示時間
10時30分~11時30分
連絡予約
前日まで
見学方法
案内あり
厩舎内への立ち入り
不可
備考
土・日曜日は、事務所が休みになるため連絡は平日にお願いします。

同じ繋養場所にいる引退名馬

着順 日付 レース名 競馬場 芝ダ 距離
1 1987年02月15日 共同通信杯4歳S G3 東京 1800
2 1986年09月21日 函館3歳S G3 函館 1200
2 1987年01月11日 京成杯 G3 中山 1600
3 1987年03月08日 弥生賞 G2 中山 2000
1 1987年11月08日 福島民友C オープン 福島 1800
1 1988年11月06日 福島民友C オープン 福島 1800
3 1988年07月24日 吾妻小富士賞 オープン 福島 1800
主催者 レース回数 1着 2着 3着 着外 賞金
1986年 中央 3 1 1 0 1 14,744,800
1987年 中央 7 2 1 1 3 68,398,600
1988年 中央 7 1 0 1 5 21,880,800
1989年 中央 7 0 0 0 7 2,900,000
合計 中央 24 4 2 2 16 107,924,200

2019年2月 ~マイネルダビテとの再会~

マイネルダビテを知っている方は、「引退名馬.jp」のウェブサイトをよくご覧になっていらっしゃるのではと想像します。あるいは、引退馬について関心の高い方でもあるでしょう。


今回の主役、マイネルダビテは「引退名馬.jp」ではトップページに掲載されるほど、長寿の一頭です。2019年になり、35歳となりました。新ひだか町静内にある岡田スタッドで、元気に余生を過ごしています。


マイネルダビテの生まれた年は、シンボリルドルフがクラシック三冠を達成した年。新冠町の牧場で、父デュール、母ニホンピロチャイナとの間に生まれました。岡田スタッド代表として奮闘し始めた岡田牧雄さんが、初めて馬主として馬を購入し、走らせたのがマイネルダビテでした。


岡田代表に当時のことを振り返っていただきました。
「当時、馬を買うのに牧場へ行きました。ただ、目当てにしていた馬は購入に至らず、たまたまその時に見た馬の中に、飛び抜けて軽い動きをする馬がいたのです。血統を見たら、兄姉はあまり走っていなかったけれど、買いやすい値段で購入できるかもしれないと思って、買うことに決めました。それがマイネルダビテです。」


名付けの親も岡田代表で、その由来は「ダビデ王」(イスラエル王国の王)からとっています。当時、濁音が3つ続く響きが良くないのでは…と判断して、あえてダビ「テ」としたそうです。


1987年、マイネルダビテは共同通信杯4歳S(G3)を制し、晴れの舞台、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)にも駒を進めました。一方、その前年、岡田スタッドは大変苦しい局面を迎えていました。
「流産菌のために、15頭いるうち11頭ぐらい流産になってしまいました。近くの牧場の人たちが心配して見舞いに来てくれたぐらいで…。ちょうどその年にダビテがデビューして、その賞金のおかげで何とか乗り切れました。経営的にも、精神的にもすごく助けられました。ダビテがいなかったら、牧場は存在していなかったかもしれません。」(岡田代表)


のちにマツリダゴッホ、スマートファルコン、サウンドトゥルーなど、岡田スタッドからは幾多のG1馬が現れることになりますが、ダビテの貢献がなければ、そのストーリーは果たしてどうなっていたことでしょう。


「最近では、牧場関連のパーティーや会合の挨拶があると、よくマイネルダビテの話をしています。自分が初めて買った馬で、自分が乗って育成した馬。牧場があるのは、ダビテが勝ってくれたおかげ。特別な存在です。」(岡田代表)


ある冬の晴れた日、マイネルダビテと会いました。しんとした寒さの中、雪が降り積もった放牧地に彼はいました。人間の年齢で言えば100歳を超す馬ですが、訪問者に気付くと、駆け寄ってきました。その歩みは速く、本当に高齢馬かなと思うほどでした。


間近で見れば真っ黒な毛は盛んに生えて、やや白くなったたてがみは、長く生きている証として印象を与えます。自分のペースでじっくりと、ふかふかの雪の放牧地の端から端までを歩いていました。横からの姿を見れば、背が垂れているのが目につきますが、毛色からサラブレッドの三大始祖のゴドルフィンアラビアンを思わせる風貌です。


最近の様子については、
「早朝から放牧していますよ。うちの牧場の方針でもありますが、できるだけ長い時間放牧するようにしています。夏は夜間放牧をしています。」
と、岡田代表は紹介します。広い放牧地で、ストレスのかからない、自由な時間を過ごしています。


冬でも馬服に頼らず、素のままの姿で過ごしているのは、“自然に順応させることで、丈夫な体をつくる”という岡田代表の考えで、ダビテの強靭な体の要因でしょう。


順調な話だけではなくて、ダビテは数年前、倒れてしまったこともあったそうです。覚悟を迫られる状態だったそうですが、酵素を与えることで馬が復活し、すっかり元気を取り戻したそうです。


さて、マイネルダビテには、岡田代表から一つの期待を込められています。それは「シンザンの長寿記録」(35歳3カ月11日)です。夏にはその記録に並ぶことになるので、ダビテにとっては老いてなお、注目される年となりそうです。
「シンザンの記録を意識しますね。冬を越せれば、過ごしやすい時期になりますから、このまま一日でも長く元気でいて欲しいと思います。またダビテの取材に来てもらえるように願っています。」
と、岡田代表は笑みをこぼします。


戦歴だけを切り抜いて見れば、数多くいる重賞馬の一頭に過ぎないかもしれませんが、マイネルダビテはいま、ホースマンなら誰もが知る名馬と肩を並べ、底知れぬ力をみなぎらせて生きています。ついぞ彼が長寿の「王」になる日を、私たちも静かに見守っていたいですね。